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イベント情報

2022年2月7日

HOKKAIDO BRANDing SUMMIT.2021 開催レポート

「今こそ求められる組織のアイデンティティとは?」
昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と参加者の健康と安全確保を考え開催を断念しましたが、今年はオンライン配信で開催いたしました。

今までの常識が通用しなくなり、ハイスピードで変化する社会において、組織として生き残るために、今求められているアイデンティティを探求し、目に見えないブランドをどのように経営に役立てることができるのか。

その本質的な疑問に焦点を当て、「組織アイデンティティとは、何か?」をテーマに最前線で活躍されている方々をお招きし実践的なトークイベントを開催いたしました。

01オープニングセミナー

「これからの経営に必要な組織アイデンティティと多角化戦略」

<出演>
PMC株式会社 代表取締役 兼 CEO
中野 善夫 氏

■コロナ禍を勝ち残る3つの経営戦略
①スピード経営
じっくり考えて本業を深掘りする経営は課題が多く残り、経営者が経営についての知見や見識のレベルが高くないとコロナ禍での経営は難しいという時代に入った。

②トップダウン
トップダウンという機能を果たせるかどうかが非常に大きなテーマになっている。これまでは、全社員含めて経営を行う時代が長く続きましたが、コロナ禍における現実的な戦略策定などボトムアップではスピードが追いつかない環境になっている。

③環境適応
経営環境が変化すれば、それについていくこと、耐えることができることが非常に重要である。これを考えると事業を多角化する方向に向かわざる終えないことが今の時代の需要な経営課題になる。

■唯一の絶対の企業安定化戦略
コロナ禍で改めて経済人・経営者、あるいは一般人が捉えている大きな変化に対応していくには事業を多角化していき安定した事業を次々と確立していくということなしには企業の安定化は実現できない。

■「不確実性、非連続性」の時代

不確実性の時代に非常に重要になってくる要因
①多角化がリスクを軽減する
②新規事業は本業と関連性のない事業が鉄則
③買収企業

①多角化がリスクを低減する
世の中の動きが読める、方向性が読める時代には「選択と集中」でよかったが不確実性の時代では選択と集中ほどリスキーな戦略はない。

②新規事業は本業と関連性のない事業が鉄則(非連続)
自社だけで失敗を繰り返し時間をかけるというのは非常にリスクが大きくなっている。FC加盟(ノウハウ享受)という成功度の高い選択肢を選ぶことは、早いスピードで成果をあげられることができる。

③買収起業
M&Aする企業がとてつもないスピードで増えており、企業買収が当たり前の時代になる。
将来に向けて安定企業を作ろうとする方法論として多角化を見据えるならば、企業を買収して起業することが価値のある重要なテーマになってくる。

■時代環境(マーケット)を読むことの重要性
取り巻く環境はこれからどう変わる?これからのニューノーマルとは何か?そこを考えることが重要で、元に戻ることは期待してはならない。
「変わり続ける環境にいかに適合していくか」ということが決定的に重要な経営者に求められる機能である。

■組織アイデンティティとは何か?
組織アイデンティティを確立して共有することなしに多角化の推進は不可能である。異質なものをコントロールするほど難しいものはない。様々な業態や事業が並列に多角化されて安定的に成長する現実を作ろうとするならば、組織全体が価値観を持って、どの方向に向かっているのかということに答えを持つことが決定的に重要である。

<まとめ>
変わり続ける環境の中でいかに適合していくには、事業の多角化、新規事業は本業と関連性のない事業、買収起業などを行い企業安定化戦略を図る必要がある。

02ブランディング事例紹介

「実践トーク アイデンティティが組織を変える」

第2部では「アイデンティティが組織を変える」をテーマに、現在ブランディングを実践している2つの企業にブランディングの事例をお話していただきました。

<出演>
有限会社丸富通商 代表取締役
髙野 基緒 氏

■ブランディングの目的
荷主様を第一に考え、お預かりした荷物を最高の品質で管理・お届けするためには輸送力を拡大し柔軟性のある組織に変える必要があると考え下記の2点をブランディンの目的としてスタートさせる。

①社内での意識共有を図る
②社会での立ち位置を明確にする

■ブランディング内容
①丸富通商の全体の軸を模索

「会社に対して社員がどう思っているのか?」「顧客が感じていること」「社長が会社をどうしたいのか」などの想いを掘り出す作業としてブランドセッションを行い、丸富通商の強み、弱みを社員と綿密に話し合い連想マップや3C分析などの手法を使用し全体の軸を考える。

②ブランドアイデンティティの共有・発信
社員の意識共有のため出来上がったアイデンティティを形にして見せることが、一番分かりやすい共有方法と考え、ロゴマークを含めた名刺や車両デザイン、社内リーフレット、webサイトなどのデザイン面を刷新。

③社内ブランディングへの取り組み
デザイン面の刷新を進める中で、当初の課題であった「中間管理職が育たない環境」により注力をして取り組むことを決意し、社内向けのブランディングを行う。
その中で「自分たちはなんのために仕事をするのか」を明確にするため、mission、vision、valueを策定。そしてMARUTOMI WAYという一冊の理念ブックに落としこむ。

④浸透する具体的な施策を考える
理念ブックの内容を社長と幹部社員以外に浸透させるため、具体的な施策を考える。

●コミュニケーションによる浸透機会
・安全大会&ブランディングミーティング
・理念ミーティング

●仕組みづくりによる浸透機会
・理念ハンドブック配布
・理念ポスターの掲出
・理念ムービー

●浸透状況の調査と改善機会
・個人面談

ブランディングにより変わったもの
①社員の変化
・理念ブックなどを社内に持ち歩いている(ドライバー)
・社員の教育の意識が高まった
・社員が前向きになり意識が変わった

②社外の声
・「元気だよね」「礼儀正しいよね」「明るいよね」と言われる機会が増えた

③ツールによる企業イメージの変化
・トラックのデザインを変えてから爽やかなイメージになったと評判
・HPからの採用問い合わせがほぼゼロだったが、リニューアル後は採用による問い合わせが増えた

<出演>
新篠津つちから農場株式会社
中村 好伸 氏

■ブランディングの目的
自分流の玉ねぎが他と明確な差別化ができていないと考える。そこで「自分の良い」と「他人の良い」は一緒ではないと気づき、「自分の良い」という考えは捨て「他人の良い」を追求するため下記の2点をブランディングの目的としてスタートさせる。

①他の玉ねぎとの差別化を図る
②世間からわかってもらう玉ねぎを生産する

■ブランディング内容
①ペルソナの設定とブランドアイデンティティの明文化

どんな価値を提供しているかを見極める必要があったため、ペルソナの設定とブランドアイデンティティの明文化をし企業としてのブランディングを始める。

②外向けの商品ブランディング
短期間での成果を出すため商品ブランディングをスタートさせる。
ペルソナに届けたい商品をブランディングするためペルソナとブランドアイデンティティの接点がある、「ネーミング」「ロゴ」「パッケージ」を変更。その他にもパンフレットやwebサイトを制作。

  • 商品ブランディングの結果、玉ねぎに付加価値をつけて販売することができ、キロ単価を向上させ、市場価格の変化に大きく左右されない商品になる
  • 主力取引先はスーパーが多かったが、飲食店にも使われるようになった。

③社内向けブランディング
商品ブランディングを経て、「飲食・調理のプロが自分たちの玉ねぎを選んでくれる」という自信に繋がる。商品ブランドを持続させるためには企業としても持続性を持たせなければならないため社内ブランディングをスタートさせる。

社員とディスカッションを繰り返し価値観や判断基準を明確化する。また行動指針のアイデアを整理し「玉ねぎを作ることで誰かを幸せにしたいという気持ち」が見えてくる。
それをmission、vision、valueに落とし込み、「Tsuchikara Field」と設定しロゴや作業着、ポスターなどを制作する。

ブランディングにより変わったもの
①売上の変化
・玉ねぎに付加価値をつけて販売することができ、単価を向上させ、市場価値に左右されない商品となった
②取引先が増えた
・飲食店などの取引先が増えた
③社内の変化
・自分たちの仕事に誇りを持てた
・進むべき方向性が見えた

03デザインセミナー

「アイデンティティを見える化するデザイン経営のススメ」

<出演>
プラスディーアンドシー合同会社 代表職務執行者社長
上田 聰司 氏

■そもそもデザイン経営って?
2018年経済産業省・特許庁より「デザイン経営」宣言が発表されました。

■「デザイン経営」推進の必要条件は下記2つ

①経営チームにデザイン責任者がいること
②事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること

■デザイン=商品開発やイノベーションだけではない
企業が大切にしている価値や意志を実現するためにデザインをする経営手法を「デザイン経営」と呼んでいる。

■なぜ、デザインやデザイナーが経営に役立つのか?
デザイナーはコミュニケーションの達人と言われ、聞き上手や共感上手である。言語化された企画やアイデアを直感的に最短で伝えるのが得意なので、経営者様が思いつくいたことを企画書などの分厚い資料ではなくデザインを使い一発で伝えることができる。
また、デザインと経営がむすびつくと、お客様や社員に直感的で説明不要の愛着や誇りを生み出すことができる。

■先行きが見えにくい今、企業の幸せは?
先行きが見えない経済状況において、持続可能な多角化経営の視点は非常に重要で、その中でアイデンティティの存在を明確にする必要がある。
私が思うアイデンティティとは、「自分が「誰なのか?」誇りを持って実感できるもの」だとお伝えしている。
企業のアイデンティティが見える化すると、直感的で説明不要の愛着や誇りに繋がる。

■私たちの誇りゲージを上げるには?
アイデンティティが見える様になると、社長さん、社員・パートさん、お客様、協力会社
などみんながしあわせになるとお伝えしています。アイデンティティが伝わることで共感してくれる人たちが周りに集まりミスマッチがなくなる。

■アイデンティティの見える化の2ステップ
①「しあわせ」ゴールを、ことばにする
営業戦略や経営計画をテーマに話をすると売上や数字が目標になってしまうがデザイン経営にすると「人のしあわせ」が数字の先のゴールとなる。

②ことばを、記号やスイッチにする
「しあわせ」を言葉にしゴールにした後、記号やスイッチにすることが重要である。

■アイデンティティを見える化する5つのヒント

①想いやビジョンを商品・サービスにする
②プロセスを商標にする
③特許や製法など、知財を商標にする
④こだわりや存在価値を色や場所にする
⑤音や見立てもアイデンティティにする

①想いやビジョンを商品・サービスにする
企業アイデンティティと商品アイデンティティがイコールになっている商品を展開する。

②プロセスを商標にする
弊社はロゴやデザインをする会社ではあるがロゴの見積よりは、ロゴを作る手前のプロセスの方が見積は大きい部分を閉めている。つまりプロセスをCI式企業ブランディングという商品にしている。

③特許や製法など、知財を商標にする
社章ではなく商標をピンバッチにし記者会見に出るなどもアイデンティティの見せ方である

④こだわりや存在価値を、色や場所にする
現在の日本では色の組み合わせや位置にも商標が取れるようになっている。
例)セブンイレブン、トンボ鉛筆(MONO消しゴム)

⑤音や見立ても、アイデンティティにする
例)無印良品:店舗で流れているBGMをCDで販売している。このBGMは無印良品が作曲している訳ではなく見立てである。

<まとめ>
デザイン経営を取り入れることで企業が大切にしている価値や意志などのアイデンティティを見える化し、直感的で説明不要の愛着や誇りに繋がる。また共感してくれる人たちが周りに集まりミスマッチがなくなる。

04トークセッション

「個の創造性を引き出す組織のアイデンティティの探求」

株式会社MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO
安斎 勇樹 氏

株式会社MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO
ミナべ トモミ 氏

■組織の創造性を高めるアイデンティティ戦略の3つのポイント
アイデンティティとはとても素直な感覚で、それに基づくと戦略という言葉はあまり相応しくないが、戦略と言っているのはアイデンティティの自己理解を外側に表明した時に言語化や表現の仕方によって経営戦略にかなり影響してくるからである。
自己を定義し他の人に説明できる様にしておくことで、現場の創造性が止まらない、組織がクリエイティブであり続けることができる3つのポイントを説明。

⑴絞り込むよりも、あえて広げておく
⑵到達したい「答え」よりも、明らかにしたい「問い」を含ませておく
⑶良さ(=価値基準)は現場と共に決めていく

⑴絞り込むよりも、あえて広げておく
事業の多角化をするにあたって、両利きの経営が重要となり両方の手を合わせることで、「何がしたいのか」をアイデンティティにする必要がある。
多くの企業は、稼ぎ頭の「利き手」(知の深化:得意技を磨いて稼ぐ)にアイデンティティを置きがりだが、もう片方の手である、知の探索:新たな可能性を実験も含めてアイデンティティを定義する必要がある。

⑵到達したい「答え」よりも、明らかにしたい「問い」を含ませておく
何が目指すべき正解か読めなくなった時代には、目標に基づく「選択と集中」が機能しなくなっている。「選択と集中」以外のモデルでこれからの時代を乗り越えるためには、問いを起点とした「分散と修繕」が重要と仮説している。

■問いを起点とした「分散と修繕」
①探求したい問いを設定
事業を通して探求したいテーマを起点にする。
②資源の分散
事業やプロジェクトに分散投資し、問いを多角的に探求することで洞察が得られる
③問いの修繕
得られた洞察をもとに問いをアップデートする

⑶良さ(=価値基準)は、現場と共に決めていく
新・SECIモデルの様に形式知と暗黙知を組織の中でぐるぐるぐる回していくことが重要である。
①共同化:個人が直接的にやりとりして、暗黙知を共有する。
②表出化:暗黙知が言葉やイメージで解釈されチームの中で形式知に変わる。
③連結化:体系的な形式知が組織レベルで構築される。
④内面化:個人によって会社的に実践され、暗黙知が豊かになる。

<まとめ>
①絞り込むよりも、あえて広げておく
②到達したい「答え」よりも、明らかにしたい「問い」を含ませておく
③良さ(=価値基準)は、現場と共に決めていく
上記3つのポイントを押さえておくことで現場の創造性が止まらない、組織がクリエイティブであり続けることができる。

04パネルディスカッション

「アイデンティティとは何か?」

株式会社ウィン 代表取締役 勝山が進行のもと、出演された皆様と「アイデンティティとは何か?」をテーマに語っていただきました。

<出演>
PMC株式会社  代表取締役 兼 CEO     中野 善夫 氏
有限会社丸富通商  代表取締役      髙野 基緒 氏
新篠津つちから農場株式会社               中村 好伸 氏
プラスディーアンドシー合同会社  代表職務執行者社長 上田 聰司 氏
株式会社MIMIGURI  代表取締役 Co-CEO          安斎 勇樹 氏
株式会社MIMIGURI  代表取締役 Co-CEO           ミナべ トモミ 氏
株式会社ウィン  代表取締役         勝山 ヒロシ 氏

投稿機能を使用し各質問を参加者の皆様にご回答をしていただきました。

①自社のアイデンティティが言語化されているか?
はい:55%  いいえ:45%

Qアイデンティティを言語化するためのヒントを教えてください。
(上田さん)
会社のビジョンと社員さんなど関わる人たちの幸せをうまくマッチングすることが重要です。また、世の中が変わったことで、絞り込むことが重要ではなくなった時にあえて広げていくことに勇気が持てない時に、肯定的に広げたほうが皆が幸せになるのではないかと思いましたので、そこを踏まえてアイデンティティを言語化する必要があるのではないでしょうか。

(安斎さん)
過去に行ってきた誇らしいもの、ことに対してリフレクションし言語化をすることによって自分たちらしさを過去から紐解いていくことは重要ではないかと思います。

②企業としてやるべきことが明確になっているか?
はい:80%  いいえ:20%

③新規事業への取り組みを行っているか?
はい:60%  いいえ:40%

Q新規事業を進めていくに当たってのポイントはありますか?
(ミナベさん)
経営者が旗を掲げた時に組織文化の壁に当たることが多く、それをどうアイデンティティに拡張しながら、「新規事業が我々にとってどう必要なのか?」という問いを作り上げていくことが重要だと思います。

例年ではサミット終了後、登壇者と参加者を交えて懇親会を行うのですが、本年度はオンラインでの開催でしたので懇親会はなく終了となりました。
来年度は、新型コロナウイルスが収まり会場で開催できることを願っております。

■アンケート結果(一部)
●様々な視点からアイデンティティが語られましたが、根っこは同じように感じ、改めて重要性を実感することができました。ありがとうございました。
●デザイナーや組織開発など、いろんなツールをお持ちの方々がプレゼンターをやってらしたので、多角的に考察することができ、とても有意義でした。
●「ブランディングサミット」と言える多くの知を共有してもらって、楽しく学ばせてもらいました。学習する興味が高まりました。
●インターナルアイデンティティの実践による効果が具体的で参考になりました。
●アイデンティティの考え方を例に出していただきましたが、とてもわかりやすく自分だったらどのように考えるか?と思うきっかけになりました。
●一つの部署をチームとしてまとめるためにリーダーとしてどうしていけばいいかなと悩んでいたのでとても参考になりました。

前回に引き続き、様々なご感想、ご要望、改善のご意見などの声をいただきました。
また、盛況の内に幕を閉じることができたのは、ご出演者、ご来場、ご支援いただいた皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

<出演>
PMC株式会社 代表取締役 兼 CEO
中野 善夫 氏

有限会社丸富通商 代表取締役
髙野 基緒 氏

新篠津つちから農場株式会社
中村 好伸 氏

プラスディーアンドシー合同会社 代表職務執行者社長
上田 聰司 氏

株式会社MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO
安斎 勇樹 氏

株式会社MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO
ミナべ トモミ 氏

<総合司会>
株式会社MCミューズ
鈴木 舞 氏

<主催>
株式会社ウィン
株式会社MIMIGURI
プラスディーアンドシー合同会社
PMC株式会社

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